「嫌われる勇気」の続編である本書は、自分で自分の未来を切り開いていきたい人、またはそういう子どもを育てたいと願う親御さんや教育者におススメです。
記事の読了時間:
6分
目次
本の概要
楽天から購入
岸見一郎、古賀史健(著)2016年2月初刷り、ダイヤモンド社
本書は、アドラー心理学の内容を対話形式でまとめた「
嫌われる勇気」の続編です。
アドラー心理学の基本思想は”世の中の全ての物事は自分の考え方次第で変わる”です。
「人は皆、客観的な世界に住んでいるのではなく、
自分が意味付けした世界に住んでいる」ということです。
例えば、仕事やスポーツで自分がミスをした時に「また同じミスをしたね」と誰かに言われたとする。
これに対して「嫌味を言われたな、うるさいなチクショー!
」と思うか、「前にも同じミスをしたんだな、次は気をつけよう。
気付かせてくれてありがとう!
」と思うかは自分で選択できます。
つまり、
相手がどうであるかではなく、自分がどうであるか。
嫌われる勇気を読んだ直後は、「そりゃそうだけど、実際はそんな簡単じゃないよねー。
色々な人がいるし、本当に悪意を持ってる人だってきっといるでしょ」と思い、斜に構えていました。
でもとにかく実践してみたら何か変わるんじゃないか?と思い、この考え方を毎日少しずつ取り入れてみたんです。
すると、たしかに見えてくる世界が少しずつ変わってきました。
自分から見える景色がすごくシンプルに見えてきたんです。
もしかするとあなたは、サングラス越しに世界を見ているかもしれない。
そこから見える世界が暗くなるのは当然です。
だったら、暗い世界を嘆くのではなく、ただサングラスを外してしまえばいい。
そこに映る世界は強烈にまぶしく、思わずまぶたを閉じてしまうかもしれません。
再びサングラスがほしくなるかもしれません。
それでもなお、サングラスを外すことができるか。
世界を直視することができるか。
あなたにその”勇気”があるか、です。
引用 嫌われる勇気 P6
アドラーを実践し続けてる今では、
対人関係によるストレスが無くなってきてすごく生きやすいと感じてます。
相手を変えようとするのは難しくて複雑に考えてしまいますが、自分のことであれば、その気になれば一瞬で変えられます。
だから
世界がすごくシンプルに見えるんです。
一方で、
アドラーを実践し続ける難しさも痛感してます。
自分が失敗して現実を直視したくない時、人のせいにして楽になりたい時は何回もあります。
だからアドラーは実践するのが難しい”劇薬”と言われるんだなーと心底実感してます。
本書「愛される勇気」は、そんな”劇薬”の続編です。
学校の先生である青年の苦悩に対して哲人が、
教育や愛について話しています。
「
ほめてはいけない、叱ってもいけない」という教育方針や「
幸福を手に入れるために”自分”は消えてなくなるべき」という思想。
読み進めていけば理解はできます、納得もできます。
しかし、
実践はかなり難しそう。
教育も愛も相手がいるから特に難しそうだ。
というのが僕の最初の正直な感想でした。
ただ、これから求められる「
自分の頭で考えて創造的な答えを出す人材」を育てるためには必要な内容だと感じました。
したがって、本書をおススメするのは、
- 子育て中の親御さん
- 仕事で部下を持つ上司
- 幸せな結婚生活を送りたいと思ってる人
- 今のライフスタイルを変えたいと思ってる人
です。
実践するのが難しくても、問題行動の5つの段階の話や、主婦の仕事と会社の仕事の優劣についてなど、「こういう考え方がある」ことを知るだけでも悩みが小さくなると思います。
それでは、印象に残った部分をピックアップしていきます。
大きな決断が必要なのは、何でもない日常
人間にとっての試練、そして決断とは、受験や就職、結婚といったシンボリックなライフイベントのときにだけ訪れるものではありません。
われわれにとっては、何でもない日々が試練であり、「いま、ここ」の日常に、大きな決断を求められているのです。
その試練を避けて通る人に、ほんとうの幸せは獲得できないでしょう。
引用 P216
これは成功者たちの”共通認識”ですね♪
億万長者の習慣や成功者たちの自伝を書いた本を数十冊以上読んでみますが、必ず共通して書いてあります。
元プロ野球のイチロー選手も
”小さなことを積み重ねることがとんでもないところに行くただひとつの道”とコメントしてます。
今日できないことは明日もできない。
何でもない日々の一日一日に意識を集中して生活していきたいですね♪
でも頑張ってると、時々やる気が出なくて、無駄に時間を過ごしてしまう時がありますよね。
1回サボっちゃうと、もう1回くらいサボっても良いかなって、そしてその次も、、、と低空飛行が続いてしまう。
最近、その対処方法を考え中ですが、シックリくるものがありません。
この記事の読者で、「この方法、おススメだよ!
」というものがあれば、ぜひ教えてください♪
「自立させる」ということ
哲人:親、そして教育者は、どうしても子どもたちに過干渉になり、過保護になる。
その結果、何事についても他者の指示を仰ぐような、「自分ではなにも決められない子ども」を育ててしまう。
青年:いや、少なくともわたしは生徒たちの自立を願っていますよ!
(中略)
哲人:あなたは生徒たちに自立されることが恐いのです。
引用 P120,121
僕も含め多くの人が青年と同じことを願い、なぜ恐いのか?と疑問に思ったことでしょう。
理由は2つあって、、、
生徒たちが自立してしまったら、あなたと対等な立場になってしまったら、あなたの権威は崩れ去ってしまう。
あなたはいま、生徒たちと「縦の関係」を築いており、その関係を崩されることが恐いのです。
これは教育者だけでなく、多くの親が潜在的に抱える恐怖です。
(中略)
さらにもうひとつ。
子供が失敗したとき、特に他者に迷惑をかけたとき、当然あなたもその責任を問われます。
(中略)どうすればその責任を回避することができるか?答えは簡単です。
子どもを支配することです。
子どもたちに冒険を許さず、無難で、怪我をしないような道ばかりを歩かせる。
可能な限りコントロール下に置く。
子どもたちを心配して、そうするのではありません。
すべては自らの保身のためです。
引用 P121
自分のことを省みると、確かにそうだなって思います。
会社で後輩に接している時、親戚などの子どもと遊んでいる時の僕の発言は、問題が起こらないように上手くまとまるような
一方的な指示をしてることがあります。
その時に限って言えば安全です。
しかし、次に似たような問題に当たっても
応用をきかせることができず、また指示を仰ぐようになります。
そうすると、
本人が成長しないし、自分の時間も無くなってしまいます。
では、どうすれば良いか?
哲人:「それは自分で決めていいんだよ」と教えること。
自分の人生は、日々の行いは、すべて自分で決定するものなのだと教えること。
そして決めるにあたって必要な材料ーだとえば知識や経験ーがあれば、それを提供していくこと。
それが教育者のあるべき姿なのです。
(中略)
青年:取り返しのつかない失敗をするかもしれませんよ?!
哲人:それは親や教師が「選んであげた」道でも同じです。
なぜ彼らの選択だけが失敗に終わって、自分の指し示した道なら失敗をしないと言い切れるんです?(中略)
青年:子どもを放置しろと?
哲人:違います。
子どもたちの決断を尊重し、その決断を援助するのです。
そしていつでも援助する用意があることを伝え、近すぎない、援助ができる距離で、見守るのです。
たとえその決断が失敗に終わったとしても、子どもたちは、「自分の人生は、自分で選ぶことができる」という事実を学んでくれるでしょう。
引用 P123-125
難しいですね。。
すごく難しい。。
大人相手にも出来てないのに、子ども相手になんて、なおさら口出ししたくなっちゃいますよね。。。
もし自分に子どもが、特に娘ができたらきっと溺愛して何から何まで口出ししちゃうんだろうなーって妄想してます笑。
でも僕自身が
社会人になった時に苦しかった理由は、まさに
自分では何も決められなかったのが原因でした。
だから、同じ思いをさせないためにもこの教育方法を少しずつ実践していければなと思います。
終わりに
いかがでしたでしょうか?
読んでいただいた通りアドラーは、かなりの”劇薬”です。
実践するのは本当に難しくて、文字通り”勇気”が必要です。
でも実践し続けていると、自分が見える世界がすごくシンプルに見えてくるという実感があります。
少しだけ”勇気”を出すために、一読してみてはいかがでしょうか♪